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ファクタリングの仕訳を完璧に理解!勘定科目から実例まで徹底解説

ファクタリングの仕訳に関する正しい会計処理をお探しの方に向けて、基礎から実践まで徹底解説します。ファクタリング取引は、売掛金を早期に現金化できる便利な資金調達方法ですが、その仕訳処理には注意点があります。本記事では、一般的な2社間・3社間ファクタリングから、償還請求権付きファクタリング、保証ファクタリングまで、具体的な仕訳例を豊富に交えながら説明します。仕訳処理のポイントや、消費税の取り扱い、手形割引との違いまで、経理実務で必要な知識を完全網羅しています。

ファクタリングとは何か

ファクタリングは、企業が保有する売掛金や手形などの債権を、金融機関や専門のファクタリング会社に売却して早期に現金化する金融サービスです。通常の支払いサイトを待たずに資金調達が可能となる手法として、多くの企業で活用されています

近年では、大手企業から中小企業まで幅広く利用され、特にサプライチェーンファイナンスの一環として注目を集めています。株式会社日本政策金融公庫の調査によると、中小企業におけるファクタリングの利用率は年々増加傾向にあります。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングの基本的な流れは、債権の売却、代金の支払い、債権の回収という3つのステップで構成されています。企業は売掛金などの債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として資金を受け取ります。

取引段階内容
第1段階企業がファクタリング会社と契約を締結
第2段階売掛債権をファクタリング会社へ譲渡
第3段階即時に資金調達(手数料差引後)
第4段階支払期日に債務者から支払い

ファクタリングのメリット・デメリット

区分内容
メリット・迅速な資金調達が可能
・与信審査が比較的柔軟
・決算書が改善される可能性
デメリット・手数料コストの発生
・取引先との関係性への影響
・審査基準を満たす必要性

信用力や業界特性によって手数料率は変動し、一般的に年利換算で2%から8%程度となっています。また、即日での資金調達にも対応可能な場合が多く、緊急の資金需要にも対応できる金融手法として評価されています。

ファクタリングの仕訳で使う勘定科目

ファクタリング取引の仕訳では、複数の勘定科目を正確に理解し使用する必要があります。主要な勘定科目について、その定義と使用方法を詳しく解説していきます。

売掛金

売掛金は、商品やサービスを販売した際に発生する債権を表す勘定科目です。ファクタリング取引では、この売掛金を現金化することが取引の本質となります

項目内容
計上タイミング商品・サービスの販売時
貸借対照表上の位置流動資産
残高の性質通常、借方残高

手数料

ファクタリング会社に支払う手数料は、通常「支払手数料」として処理します。この手数料には、金利相当分と信用調査費用、事務手数料などが含まれています

手数料の種類内容
基本手数料取引金額に対する一定率
信用調査費取引先の与信調査費用
事務手数料契約書作成などの実務費用

支払手数料

支払手数料は損益計算書上の営業外費用として計上されます。ファクタリングにおける支払手数料は、売掛金の早期現金化に伴うコストとして認識されます

支払手数料の処理方法は以下の特徴があります:

処理項目説明
計上区分営業外費用
期間帰属発生主義に基づき計上
消費税の取扱課税対象取引
経理処理のタイミング取引発生時または月末計上

なお、支払手数料が期末時点で未払いとなっている場合は、「未払金」または「未払費用」として計上する必要があります。期間損益計算の適正化のため、決算時には必ず未払分の計上漏れがないか確認することが重要です

ファクタリングの仕訳の基本

ファクタリングの仕訳は取引の種類によって異なりますが、基本的な仕訳パターンを理解することで、実務での対応が容易になります。ここでは2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの基本的な仕訳方法を解説します。

2社間ファクタリングの仕訳

2社間ファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に売却した時点で、売掛金の認識を中止し、受け取った金額を現金として計上します。手数料は支払手数料として処理します。

借方貸方
現金 90,000円売掛金 100,000円
支払手数料 10,000円 

この仕訳例では、100,000円の売掛金に対して10,000円の手数料が発生したケースを示しています。

3社間ファクタリングの仕訳

3社間ファクタリングの場合、売掛金の譲渡通知を債務者に行った時点で売掛金の認識を中止します。この取引では、ファクタリング会社への売掛金の譲渡と、債務者からファクタリング会社への支払いという2つの取引が発生します。

取引段階借方貸方
売掛金譲渡時現金 90,000円売掛金 100,000円
 支払手数料 10,000円 

3社間ファクタリングでは、債務者に対する通知義務があるため、以下の書類の作成と保管が必要です:

  • 売掛金譲渡通知書
  • 債権譲渡契約書
  • 取引基本契約書

消費税の処理については、支払手数料に対して課税されるため、課税事業者の場合は支払手数料に含まれる消費税額を別途計上する必要があります。その場合の仕訳は以下のようになります。

借方貸方
現金 89,000円売掛金 100,000円
支払手数料 10,000円 
仮払消費税 1,000円 

これらの基本的な仕訳パターンを応用することで、様々なファクタリング取引に対応することができます。特に注意が必要なのは、手数料の計上時期と消費税の処理です。

ファクタリング仕訳の実例

ファクタリングの仕訳について、具体的な実例を用いて詳しく解説します。実務で遭遇する典型的なケースを取り上げ、正確な仕訳方法を説明していきます。

売掛金を早期に現金化した場合の仕訳例

売掛金1,000,000円を、手数料30,000円でファクタリング会社に売却した場合の基本的な仕訳例です。

借方金額貸方金額
現金預金970,000売掛金1,000,000
支払手数料30,000  

この仕訳により、売掛金が消滅し、手数料を差し引いた金額が現金として計上されます

手数料が差し引かれた場合の仕訳例

消費税込みの売掛金2,200,000円(税抜2,000,000円、消費税200,000円)をファクタリングした場合で、手数料が66,000円(税込)のケースを見てみましょう。

借方金額貸方金額
現金預金2,134,000売掛金2,200,000
支払手数料60,000  
仮払消費税6,000  

期末に未払手数料がある場合の仕訳例

期末時点で未払いの手数料がある場合、決算時に計上する必要があります。3月末決算で、2月に実行したファクタリングの手数料55,000円が4月支払いの場合を例に説明します。

借方金額貸方金額
支払手数料50,000未払金55,000
仮払消費税5,000  

決算期をまたぐファクタリング取引の場合、未払手数料の計上を忘れないようにすることが重要です

翌期4月の支払時には以下の仕訳となります。

借方金額貸方金額
未払金55,000現金預金55,000

これらの仕訳例は、一般的な事例として参考にしていただけますが、実際の経理処理においては、取引の実態や契約内容に応じて適切な仕訳を行うことが必要です

償還請求権付きファクタリングの仕訳

償還請求権付きファクタリングは、ファクタリング会社が売掛金の買取後に債務者から支払いを受けられない場合、売掛債権の譲渡元に対して返還を請求できる権利を持つ取引形態です。

償還請求権付きファクタリングは、会計処理上「金融取引」として扱われ、売掛金を譲渡した際も資産から除外せず、借入金として処理します。

基本的な仕訳パターン

売掛金100万円を償還請求権付きファクタリングで譲渡し、手数料2万円が差し引かれた場合の仕訳例です。

借方金額貸方金額
現金預金980,000短期借入金1,000,000
支払手数料20,000  

債務者からの入金時の仕訳

債務者から入金があった場合、以下のような仕訳となります。

借方金額貸方金額
短期借入金1,000,000売掛金1,000,000

貸借対照表上の表示

償還請求権付きファクタリングの場合、売掛金は資産として計上したままとなり、同時に負債として短期借入金が計上されます。このため、貸借対照表の資産・負債両方が膨らむ結果となります

注記事項の記載

金融商品に関する注記において、以下の事項を記載する必要があります:

  • 譲渡した売掛債権の金額
  • 譲渡に伴う手形割引高や売掛金譲渡残高
  • 重要な会計方針における金融資産の評価基準及び評価方法

債務者が支払不能となった場合の仕訳

債務者が倒産等により支払不能となり、譲渡元が償還請求に応じた場合の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額
短期借入金1,000,000現金預金1,000,000

その後、貸倒引当金を計上する場合は以下の仕訳となります。

借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入1,000,000貸倒引当金1,000,000

保証ファクタリングの仕訳

保証ファクタリングは、売掛債権の買取に加えて、債務者の支払い不能リスクをファクタリング会社が保証するサービスです。通常のファクタリングと比べて手数料は高くなりますが、確実な資金回収が可能になります。

保証ファクタリングの基本的な仕訳パターン

保証ファクタリングでは、債権譲渡時に保証料が発生するため、通常のファクタリング手数料に加えて保証料の仕訳が必要となります。

借方科目金額貸方科目金額
当座預金970,000売掛金1,000,000
支払手数料20,000  
支払保証料10,000  

保証料の会計処理

保証料は、支払保証料という独立した勘定科目で処理することが一般的です。これにより、通常の手数料と保証料を明確に区分して管理できます。

保証履行時の仕訳

債務者が支払不能となり、ファクタリング会社が保証履行を行った場合の仕訳は以下のようになります。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金1,000,000売掛金1,000,000

保証履行請求時の注意点

保証履行請求時には、債務者の破産手続きや民事再生手続きなどの法的整理の開始決定書類、または実質的な支払不能を証明する書類が必要です。

保証ファクタリングの税務処理

保証料は、原則として支払時に損金算入が可能です。ただし、保証期間が1年を超える場合は、期間按分して処理する必要があります

項目処理方法注意点
保証料の損金算入発生時に全額損金1年以内の契約
長期保証料期間按分で処理1年超の契約
保証履行による受取金益金算入受取時に計上

具体的な仕訳例

売掛金1,000万円を保証ファクタリングで譲渡し、手数料2%、保証料1%が発生した場合:

借方科目金額貸方科目金額
当座預金9,700,000売掛金10,000,000
支払手数料200,000  
支払保証料100,000  

よくある質問

ファクタリングの仕訳で消費税はどう処理する?

ファクタリングにおける消費税の処理について、基本的な考え方と具体的な仕訳方法を解説します。

ファクタリング取引における消費税は、売掛金に含まれる消費税と手数料に係る消費税の2つに分けて考える必要があります

取引内容借方貸方
売掛金のファクタリング時現金 9,800,000
仮払消費税 200,000
売掛金 10,000,000
手数料支払時支払手数料 100,000
仮払消費税 10,000
現金 110,000

手数料に関する消費税は、支払時に仮払消費税として計上します。期末には、確定申告のために消費税額の計算を行います。

ファクタリングと手形割引の仕訳の違いは?

ファクタリングと手形割引は、どちらも債権を現金化する方法ですが、会計処理には重要な違いがあります

項目ファクタリング手形割引
基本仕訳(借)現金 ××
(貸)売掛金 ××
(借)現金 ××
(貸)受取手形 ××
手数料処理支払手数料として計上支払利息として計上
簿外処理必要なし手形買戻義務の注記必要

両者の主な違いは以下の点にあります:

  • 手形割引では債務保証に関する注記が必要
  • ファクタリングでは売掛債権が完全に消滅
  • 手数料の性質と計上方法が異なる

ファクタリングの場合、売掛債権は完全に譲渡されるため、貸借対照表から消去されます。一方、手形割引の場合は、手形の買戻義務が残るため、簿外債務として注記が必要となります

ファクタリング手数料は経費として計上できる?

ファクタリング手数料は、原則として全額が経費として認められます。具体的な処理方法は以下の通りです:

  • 法人税法上の損金算入が可能
  • 消費税の課税仕入れとして処理可能
  • 支払手数料勘定で処理

経費として認められる条件として、通常の事業活動に必要な資金調達であることが求められます。税務調査の際には、手数料率が適正であることを示す資料を保管しておくことが推奨されます

まとめ

ファクタリングの仕訳は、取引の形態に応じて適切な勘定科目を選択することが重要です。2社間ファクタリングでは売掛金と現金の入れ替わりが基本となり、3社間ファクタリングでは債権譲渡に関する処理が加わります。手数料は支払手数料として計上し、消費税の処理も忘れずに行う必要があります。中小企業の資金繰り改善に有効なファクタリングですが、会計処理を正確に行うことで経営の透明性を確保できます。特に期末処理では未払手数料の計上を忘れずに行い、経営分析に活用できる正確な財務諸表を作成することが大切です。